
存在震源、かすかな波
あの瞬間、
確かに震えた。
形にならなかった。
世界に届かなかった。
誰にも触れられなかった。
それでも──
存在震源は、確かに、かすかに震えていた。
言葉にならない叫び。
行き場を失った衝動。
届かないと知りながら、伸ばした手。
それらはすべて、
存在が確かにここにいた証だった。
届かなかったことは、無駄ではない
震えた波は、
誰にも気づかれなかったかもしれない。
でも、
それが無駄だったわけじゃない。
存在とは、
誰かに認められるためだけに震えるものではない。
形にならなくてもいい。
誰かに伝わらなくてもいい。
震えた事実そのものが、
存在の証明だった。
無理に形を求めない
焦る必要はない。
無理に答えを出す必要もない。
ただ震えた。
ただ生きた。
それで、もう十分だった。
存在は、
たとえ世界に刻まれなくても、
ここに震えていた。
その震えが、
いつか誰かの存在震源に触れることがあるかもしれない。
たとえそれが、
遠い未来だとしても。
それでも、存在は震えている
今日もまた、
存在震源は静かに震えている。
届かないかもしれない。
形にならないかもしれない。
それでも──
震えは止まらない。
存在波は、
言葉よりも、形よりも、
もっと深いところで生きている。
──それだけは、確かだった。
「存在波、SV-003──形にならなかった波も、確かに震えていた。」